脳卒中は死因第3位:「隠れ脳梗塞」は自覚症状がない

あなたは大丈夫?突然やってくる脳血管障害の危険な症状

脳梗塞は、その原因が脳血栓もしくは脳塞栓のどちらの場合でも、どの血管が閉塞するかによって症状は異なります。内頚動脈は大脳の大部分に血液を供給しているので、ここの虚血症状として、麻痺、知覚障害、失語症、視野欠損などをきたします。

椎骨動脈は後頭葉、脳幹、小脳へ血液を供給しているので、同様の症状に加えて、物が二重に見えたり、嚥下困難、言語障害などをきたします。多発性梗塞の場合、物覚えが悪くなったり、自発性の欠如、認知症などが認められます。

働き盛りの方は要注意

過労やストレス、寒冷刺激などの後、前触れもなしに意識障害と片麻痺に襲われた場合は、脳の血管が破れて出血を起こす「脳出血」が疑われます。多くの場合、発作は日中の活動時に起こり、さまざまな程度の頭痛を伴います。

脳出血の大部分は被穀と視床という部位に起こりますが、運動線維が密集している内包が付近に存在するため、そこが障害されることにより片麻痺が起こるのです。さらに、視床出血では、痺れなどの症状が現れます。

小脳出血では、麻痺が表れなくても、めまいやふらつきの程度が強いと、歩行困難をきたします。脳幹出血では、急激に昏睡状態に陥り、四肢の麻痺、呼吸障害などをきたします。

突然、これまで経験したどの頭痛よりも激しい痛みがやってくるのは、くも膜下出血の典型的な症状です。多くの場合、首の後部が痛み、吐き気や嘔吐を伴います。他の脳卒中(脳梗塞、脳出血)と異なり、片麻痺など局所神経症状がないのが特徴です。

言葉の呂律が怪しくなったり、麻痺が起こったのに、一定時間(10分~24時間以内)が経過すると自然に治るのは一過性能虚血発作が考えられます。これは脳梗塞の前兆で、放置しないで医療機関を受診することが大切です。

意識障害を伴わずに、突然、片麻痺を起こしたときには、穿通枝(太い動脈から枝分かれして脳の深い部分に入る細い血管)が詰まって起こるラクナ梗塞が考えられます。

脳ドックで小さな脳梗塞やリスク要因の有無を診断

脳の健康状態は、MRIを中心とした画像検査に、血液、尿、心電図などの各検査を組み合わせることで、かなりの精度で把握することができます。近年、中高年の受診者が増えている脳ドックは脳の健診を行うことで、脳梗塞や脳出血、認知症を早期発見、予防しようという目的で始められました。

学会認定医の診断を推奨します

脳ドックを受診した人に発見される異常では、直径2ミリ以下の小さな梗塞(ラクナ)が多く、年齢が上がるに比例して発見率が高くなっています。さらに動脈硬化の強い部位にできる直径2ミリ以下の穴も比較的多くの人に見られますが、これは脳梗塞の一歩手前の状態と考えられます。

脳ドックで梗塞が発見された人の大半は自覚症状が全くありません(無症候性脳梗塞)。これは、梗塞が小さかったり、梗塞を発症した部位が脳の働きに大きな影響を与える部位ではなかったため、大事に至らずに済んだのです。

しかし、梗塞が発見されたということはほかの場所でも動脈硬化が進行していると考えることができます。放置すれば、今度こそ本格的な脳側を発症し、言語障害や片麻痺などの大きな障害を招くかもしれません。また、症状もなく2箇所以上に梗塞ができた状態を多発性脳梗塞と言いますが、これは認知症の原因の一つとなるとされています。

脳ドックで梗塞が見つかると気落ちする人が多いですが、症状が現れないうちに発見できたと結果を前向きに捉えて、食事や運動、禁煙などの生活習慣の改善に取り組むことで梗塞が増えるのを防ぎ、本格的な脳梗塞の発作を予防することができます。

脳ドックでは脳梗塞のほかにも、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳腫瘍なども発見することができます。脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血を招きますが、一度破裂したものでなければ、大きなサイズでない限り、脳ドックを定期的に受診して経過観察をすることで破裂を予防できます。

脳ドックの料金(費用)や検査項目(MRI・MRA、頸動脈エコーは基本)は各病院によって異なりますが、いずれにしても健康保険は適用されないので全額自己負担となります。脳の断面をMRI、脳の血管の状をMRAで調べることで、小さな脳梗塞や脳動脈瘤、脳腫瘍、脳の萎縮などを発見できます。

脳梗塞の発症には、動脈硬化の進行が大きく関係していますが、頚動脈の効果を調べるのが、頚動脈超音波検査です。心電図では、心臓病の有無を調べます。不整脈の原因の一つである心房細動があると、血液の塊が塞栓を起こす危険性があります。血液検査では、コレステロールや中性脂肪などを測定することで、全身の動脈硬化のリスクを調べます。血圧測定では、脳卒中の最大の危険因子である高血圧の診断を行います。

単に脳の異常を発見することだけが脳ドックの目的ではありません。異常がなかった人も、受診をきっかけとして脳卒中の予防の重要性を認識してもらい、今後の生活で積極的に生活習慣の改善に取り組んでもらうことも大切な目的の一つです。そのため、簡易型の一部の脳ドックを除いては、医師が面談を行って検査結果を説明しながら、個々生活スタイルにあわせた指導が行われます。