薬物療法による脳梗塞の再発予防

脳梗塞は血液の塊である血栓が脳の血管に詰まることで発症しますが、薬物療法によって、血栓ができにくくすることによって、再発を予防する効果が期待できます。

脳梗塞の再発予防を目的とした薬物療法は長期にわたって続くため、医師の指示に従って服用し、自己判断で中止しては絶対にいけません。薬物療法には、以下に挙げる「抗血小板療法」と「抗凝固療法」の2つのタイプがあります。

抗血小板療法は、血栓を構成する血小板の作用を抑えることにより、動脈硬化のある部位に血小板が集まるのを防ぎます。ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞の患者さんに使用され、主にアスピリン、塩酸チクロピジン、シロスタゾールの3種類の薬が処方されます。

解熱鎮痛薬として世界的に有名なアスピリンには、抗血小板作用もあり、最も使用頻度の高い抗血小板薬となっています。抗血小板薬は血液を固まりにくくするため、出血しやすくなります。そのため胃潰瘍や十二指腸潰瘍のある人は、消化管出血が起こることもあるため、担当医に伝えるようにしましょう。

アスピリンよりも作用が強いのが塩酸チクロピジンです。副作用として肝機能障害、まれに白血球減少などが起こります。副作用は服用開始から2ヶ月以内に起こりやすいため、この期間は2週間ごとに血液検査を受けて、検査数値をモニターする必要があります。

シロスタゾールは、抗血小板作用に加えて、血管を拡張させて脳の血流を改善させたり、動脈硬化の進行を抑えるなどの作用もあります。

動脈にできる血栓は上記の血小板が主流ですが、心臓にできる血栓はフィブリンが主体となるため、フィブリンによる血栓を予防する薬は抗血小板薬から抗凝固薬に変更となります。

心臓でできた血栓が脳に運ばれて発症する心原性脳塞栓症の再発予防に使用されており、心房細動を伴う脳梗塞や前触れ症状であるTIAを起こした人が服用しています。

国内で抗凝固薬として使用されているのはワルファリンカリウムです。この薬は効きすぎると、出血しやすくいうえに止血しにくいという性質があるため、医療機関を受診するたびに血液検査で血液の固まる具合を調べる必要があります。